傘はある

健康で文化的な愛にあふれた生活

友人(目の奥が死んだ不幸なギャル) 2

友人(目の奥が死んだ不幸なギャル)から電話がきた。

「最近のわたしはわたしらしさが足りないと思って、キャバクラで働き始めたんだよね」
「働いてる店は若い女の子ばかりでさ、客に今年で26歳っつったらババアは勘弁してくれってソッコーでチェンジされるんだよね」
「まあわたしプライドないからなんとも思わないんだけどね、むしろ興奮するし」
なにやってんだよ。
スタートダッシュの加速がやばすぎるだろ。
さすが「わたしは不幸なのがサイコーに幸せなんだよね」と言うだけのことはある。

わたしと彼女は見た目も趣味も全然合わないけれど、付かず離れずの関係で不思議とずっと仲が良い。
彼女はわたしの話を聞いていないようでいてしっかり聞いて全部ちゃんと覚えているし、わたしがぐちゃぐちゃできちんとまとまっていない悩みをだらだらと話すと「こういうことでしょ」と端的な言葉で綺麗にまとめてくれるし、わたしが人間関係に悩んでいたときは「わたしはあばちゃんがきちんと考えて自分の言葉で話してるってわかってるから、わたしもあばちゃんに対してはきちんと考えて自分の言葉で話してるよ」と救ってもらった。

彼女は頭がいい。
勉強ができるのはもちろんだけど、様々な面で能力が高くて利口で人として頭がいい。
聞き上手なだけじゃなく言葉をたくさん知っていて話も上手いし、思慮深いので人間関係における自分のポジションをしっかり理解して器用に立ち回るし、どんな酷い扱いを受けても他人に対して"絶対に言ってはいけない言葉"は絶対に言わない。

わたしは彼女のそういうところを心から尊敬しているし、彼女のそういうところが心から大好きだ。
自分で言うのも恥ずかしい話だけれど、彼女もわたしのことが心から好きだと思う。
「北海道に帰りたいというよりも、あばちゃんの近くにいたい」
「何十人の友達よりも、あばちゃん1人がわたしにとって何よりも大切なんだよ」
「仕事やめて離島で一緒に暮らそうよ」
「あばちゃんと血の繋がりがないことが悔しくて仕方がない」
「会ったことないけどわたしのあばちゃんを横取りしたからあばちゃんの彼氏のこと嫌いなんだよね」
愛が重すぎる…。

3時間ぐらい長電話して「明日も仕事だしそろそろ…」と切ろうとしたら「わたしと仕事どっちが大切なの?!!今電話切ったらわたしこれからデリバリーホスト呼んで愛のないペッティングをされちゃうからね?!!?いいの!!?!」と脅しにもなってない脅しをされた。
デリバリーホストを呼んで愛のないペッティングをされた彼女の話を聞きたいと思い、わたしは躊躇なく電話を切った。