傘はある

健康で文化的な愛にあふれた生活

プラスのエネルギー

クリーニング屋さんに行こうと商店街を歩いていたら、国籍不明の胡散臭い自称占い師のババアに話しかけられた。
「手相ミセテ!オネガイ!アナタ占イタイ!オネガイ!手相ダケ!手相ダケダカラ!全部ハ見ナイカラ!」
いや、せっかく占ってくれるなら全部見てくれよ。
「先っぽだけ!先っぽだけだから!」ってセックスしてくれと頼み込む男かよ。
挿入するなら奥までずっぽりハメて気持ち良くしてくれよ。

女の人ってさ、占いが好きな人が多いよね。
大学の女友達が恋愛や勉強について見てもらおうと占いに行った話を聞いたんだけど、夜中にパンにマーガリンを塗って貪り食ってることを見透かされてごはんの炊き方を教わって終わったらしい。
そんなん占いでもなんでもないただの生活の知恵じゃねぇかよ。

そういう話を聞いていたのもあって自ら占いに行ったことはないんだけど、2年ぐらい前にたまたまバーで隣になった占い師さんと仲良くなって一度だけ見てもらったことがある。
それは名前と生年月日で占う方法で、言われた通り紙に書いたらその占い師さんに驚愕された。
「これは…すごい…」
「なんですか…?」
「普通はね、みんなプラスとマイナスの両方のエネルギーを持ってるんだよ」
「ほ〜」
「しかし君は類い稀なことにマイナスのエネルギーが一切なくて、プラスのエネルギーしか持ってないんだよ…」
「マジっすか」
「たいていはみんなそのときの精神状態や環境によってエネルギーを蓄えたり出したりするんだけどね…君は人とは比べならないぐらい大量のプラスのエネルギーを持ってるだけじゃなくて、常にものすごい量を垂れ流しなんだ…」
「ヤベェ」
「だからね、周りの人たちにはとても恵まれるよ」
「あー確かに、わたしの周りはめちゃくちゃいい人たちばっかりですね」
「ただね〜プラスのエネルギーが凄すぎて、マイナスのエネルギーを持ってる人も寄ってくるね〜」
「マイナスのエネルギー?」
「変質者とか、頭のおかしいやつとか」
「あーよく遭遇しますわ」
「でもちゃんとした人と付き合って結婚できると思うよ」
「ウオー!やったぜ!」
「でも好きな人ができてもアタックしたりアピールしたらダメ」
「えっ!なんでですか!」
「君のエネルギーが凄すぎて相手が焼け焦げてみんな死ぬ」
死ぬのか、死んでもらっては困る。
わたしが過去に好きになった男たちが今も生きてることを願う。

その占い師さんが帰りに際に対処方法を教えてくれた。
「もう君のエネルギーは強すぎて変えることはできないけれどこのままだと良くないから出し方の調節を覚える訓練をした方がいい」
「どうすればいいんですか?!?!?」
「自分よりも大きいエネルギーを想像するといいよ、例えば宇宙とか」

それからわたしは毎日宇宙を想像して生活している。